ヒトの食性

「食性」とは、一般にある動物が本来何を食べているかを問題にされる時に使われる言葉。動物としての「ヒト」は、カラダの構造から見て、何を食べるのがふさわしいのか、見てみましょう。

歯に注目。

ヒトの歯は32本、前歯8本、犬歯4本、臼歯20本(最近は親知らずが生えずに16本のヒトもいる)で、世界中同じです。

たとえば肉食動物のライオンやトラは、餌を捕まえ肉を噛み切る犬歯(キバ)が多く発達しています。またウシやウマなどの草食動物は、植物を砕く臼歯がほとんどです。このように、動物の歯の構造から、食性がわかります。

      

それをヒトに置き換えると、野菜を噛み切る前歯が約3〜4割、野菜や穀類、豆類などをよく噛み砕く臼歯が約6割、肉等を噛みちぎる犬歯は約1割と考えられると、医学博士の島田彰夫さんは述べています。

腸の長さに注目。

日本人は、ちょっと前まで胴長・短足と言われていました。肉食動物のライオンは胃腸が短く、草食動物のウシは胃腸が長い。同様に肉食文化の欧米人も胃腸が短いから、胴が短く足が長い。野菜や穀類が中心の食生活である日本人は、腸が長いから胴が長く足が短かったのです。

というのは、草食動物にとって穀類や野菜は食物繊維が多く、腸でゆっくり消化する必要があります。また肉類は腸内に長く留まっていると腐ります。腸の長い日本人が、自分のカラダの許容量以上に肉類をとってしまうと、腸の中で腐敗が進み、有害ガスを発生し、ガンやアレルギーなどカラダに病気を引き起こす活性酵素を増やしてしまうのです。

      

もともと人類の起源は、熱帯地方で誕生したと考えられ、歴史の中で様々な地域に広がっていきました。伝統的な日本の食事で紹介しているように、寒冷地帯に住むヨーロッパの人などは、その風土にあった食生活をせざるをえず、だんだんカラダが適応していったと考えられます。今の若いヒトたちは、生まれた時から、肉食に馴染んでいるので、腸が短くなり胴が短く足が長くなってきているんですね。でもたかだか洋食化がはじまって40年ほどしかたっていないので、カラダがついていけず、アトピー・アレルギーや生活習慣病などの病気を引き起こすのです。

消化酵素に注目

ヒトの消化酵素の特徴は、アミラーゼ(デンプン分解酵素)の活性が高いそうです。つまり、ヒトにとって、穀類や芋類などのデンプンを含んだ食品が重要だと考えられます。

赤ちゃんにとっての栄養源は、おっぱいです。おっぱいにも牛乳のように、乳糖が含まれています。乳糖は、ラクターゼ(乳糖分解酵素)によって、分解されます。北ヨーロッパや砂漠地帯など、長い歴史の中で牛乳や山羊乳が重要な食糧資源となっている地域を除いたヒトの共通点が、離乳期をすぎると、このラクターゼの分泌が減っていき、アミラーゼが分泌されていくことです。大人が牛乳を飲むと、おなかがごろごろするのは、ラクターゼが減って、分解できないためなのです。

70年代頃の食事では、肉や魚が今ほど安く手に入らなかったこともあり、米や芋のデンプン食の比重が大きかったのです。それは今の食卓から見ると、豪華ではないけれど日々の健康を維持するに適した栄養バランスだったのです。

もっとヒトの食性について知りたい方は、

「食と健康を地理からみると」島田彰夫著/農文協

「身土不二を考える」島田彰夫著/無明舎出版

「伝統食の復権」島田彰夫著/東洋経済

を読んでみて下さい。

オールアバウト 食と健康