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粗食で健康! ブームの裏側で(2002.7.19)

「粗食」がブームになつている一方で、粗食と呼ばれる豆腐・ごまなどを食べ過ぎて肥満になつているという、意外な現象がおきているのだとか。

武庫川女子大学の小西すず助教授は、同大の栄養クリニックで女性を対象にダイエット講座を開き、受講者は、体形と生活習慣病に黄色信号が点滅する五十〜六十代の主婦が中心。十年指導を続けてきた小西さんは、年々増える「粗食の過食」に頭を悩ませているそうなのです。

今の時代、健康志向が強い人の中に、ヘルシーだからとわざわざ選んだ豆腐や青背の魚をせっせと食べている人が多く、過食になって太っているのだとか。なんとも皮肉な現象です。どんなおかずにもゴマをふりかけている人、毎日食前にお豆腐1丁食べる人、オリーブ油もお味噌汁や煮物にたらす・・・。結局1日に必要なカロリーを大幅に超えていたそうです。

本来の「粗食」という意味が見失われ、「粗食さえしていれば痩せられる」という考え方から、豆腐やごまなど「粗食食品」と呼ばれるものを過食し肥満に結びついている例がたくさん見受けられるようになりました。

小西さんは「現代の日本人は食べ物というものをコマーシャル化、ファッション化してしまっています。少し食べ物に対して傲慢になっているのではないでしょうか。もっと謙虚な気持ちにかえって、「必要なだけのエネルギーを感謝していただく」という意味での「粗食」こそ、実は今の日本人がいちばん大切にしなければならないことのはず、といわれています。

  

私が尊敬する「摘み菜料理」研究家の平谷けいこさんは、野や山、浜にある植物を食べる伝統の知恵を伝える活動をされています。

摘み菜料理のモットーは、

■自分が食べられる分だけを摘むこと。*絶滅しそうな品種は見るだけ

■いただいた命は、あますことなく丸ごと命をいただくこと。

です。

私たちは、今スーパーに行けば簡単に食べ物が手に入る。でも家族4人分のお浸しをするために摘み菜を摘むのは、やってみると想像以上に苦労するものなのです。「今ここに咲いていた花を折って、その命をいただくんだから、花も実も、葉も食べて、固い茎はお茶にしてね。丸ごとの命をいただいて」というのが、平谷さんの口癖です。

これは、小西さんのお話に共通しているなーと、私は思うのです。「食べられることに感謝しつついただく」ことって食の原点ですよね。「健康!、健康!」と躍起になっていることが、とても不健康だな−と滑稽に思う時があります。もちろん自分への反省もこめて、ですよ。